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Copyright Maeda Yutaka

1.3 時間の遅れ


          思考実験の続き(特殊相対性理論の発見)




  ところで気になる事が有るですと?『そちらS側の時計同士は狂っていないが、全部ゆっくり動いている様に見える。気のせいでしょうか』ですって?

そうですか、よく気が付きました。あなたは鋭い観察眼の持ち主だ。実はこちらから見ても、あなた側のS'系も時計がゆっくり動いている様に見えている。気のせいではありません。では、どれくらゆっくりなのか、目に見えて分かり易い光時計を、詳しく観察してみよう。




 まずは、手元で静止している光時計の解析。光速度3×10「m/S]をCとする。図3−1の様に鏡の間隔を l とし、下から上に到着するために要する時間を tとすると以下の通り。 時間としては5n秒かかる。





図3‐1




  次は、私から見たあなたの時計の解析。図3−2の様に、光が到着するまでに鏡は当然移動する。したっがってt時間では到着できない。




図3‐2


 この場合の到着時間をとすると、VtCt下の図の通り直角三角形の関係となりはピタゴラスの定理より求められる。一方先ほどの静止していた場合の関係式Ct0より、 を消去すると0に対する比率が求められる。





図3‐3


 移動速度Vが光速の50%、つまり0.5Cの場合の到着時間は2/√3となり約1.15倍かかっていることが判る。すなわちS'で時計が1秒刻むためには、S系での時間1.15秒を要すことになる。

また、逆の言い方をすると、S系に対してS'系は時間が =0.87倍しか進まない(つまり遅れてしまっている)ことになる。




 そう、これが、あの有名な”移動している系は時間が遅れる”という現象に他ならなですな。







どうでしょう。あっけにとられるほど単純でしたね。









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